地球上の長距離を移動する渡り鳥はどうやって自分の位置を把握し目的地に辿り着くのだろう。
長い種では数千kmにもなる距離を地図もコンパスも持たずどうやって移動しているのだろう。
どうやら地球の磁気を”見て”自分の位置や進む方向を認識している可能性があるようだ。
今回は研究が行われたヨーロッパコマドリを紹介する。

natureの記事から引用すると「磁気感受性のあるタンパク質(クリプトクロム)が渡り鳥のナビゲーションを助けている可能性がある」とのこと。
磁気感受性とは磁力の向きを感じられるということ。
磁気とは磁力の根源。
小学校で習うS極とN極のあの力/性質をイメージすればいいだろう。

地球はデカい磁石になっていて、地球の持つ磁気を地磁気と呼ぶ。
渡り鳥には地磁気が見えていて場所や方向を認識している可能性があるということだ。

地磁気が“見える”とはどういうことか。
ヨーロッパコマドリの網膜にはクリプトクロムというタンパク質がある。
これは鳥以外の動物や昆虫でも持ってるやつがいる。
クリプトクロムは光情報(エネルギー)を受け取ることができ、通常これは視覚に使われる。
しかしそれでけではなく、光情報を受け取ることにより磁気を感じるセンサーとしても働いているらしい。
原理としてはクリプトクロムに光が当たることで量子的な力が働き、その反応の量で磁気を感じて方向を把握しているようだ。
詳細は参考にしたnatureの資料にある。
nature Cover Story:量子コンパス:磁気感受性のあるタンパク質が渡り鳥のナビゲーションを助けている可能性
渡り鳥だけでなく、クジラや鮭など様々な生物が磁気を使っているとする研究もある。
私たち生身の人間には磁気(磁力)を感じることはできないが、磁気は存在するし、人間も様々な事に使っている。
磁気だけでなく紫外線が見えている動物や虫もいるし、紫外線の吸収率を利用している植物もいる。
無意識に自分の目に見えている世界がこの世の全てだと思いがちだが、私たち感覚器官で見たり聞いたりするものが全てではない。
人間の目に見えない物質や聞こえない音、感じられないエネルギーが多くあり、想像や認知を超えたことが現実に起こっているということを意識するきっかけになる。